信州境の白草山
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 白草山は、下呂町御厩野と乗政の間にあります。白草の名は江戸時代にすでにありました。御厩野村地籍図(飛騨下呂図録)を見ると、信州と乗政との境界に字名として白草があり、その南に白谷があります。また、白草山を挟んで白谷の向こう側(乗政側)に黒谷(黒谷林道)があります。白谷、黒谷はもともと対の地名だと考えます。したがって白草山が現在、草原状のササ原であるため、白草の名が付いたのではないようです。
 また御厩野村山絵図(徳川林政史研究所蔵、飛騨下呂図録)によると、今の三国山から白草山の稜線が信濃国三浦山境となっています。江戸時代の終り頃、この稜線は飛州と信州三浦山の境界であり、三浦山は信州(尾張領)の山とされていたことがわかります。
 信州側にある滝越は、宝治元年(1247年)執権北条時頼に滅ぼされた三浦泰村(みうれやすむら)の弟家村が、鎌倉を逃れて移り住んだ土地といわれています。滝越の家々の苗字はすべて三浦でした。(三国山拝殿山参照)
 白草山の稜線上を覆うササ原は主にイブキザサです。イブキザサは、積雪のある太平洋側山地を中心に生えるササです。小型のミヤコザサは、下呂町付近では積雪の少ない1,000m級の山で見かけます。(川上岳高樽山竜ヶ峰参照)
 三国山から白草山周辺にかけては、名古屋営林局で伐採するまで、木曽5木の森林帯だったと思われます(井出の小路山参照)。白草山の隣の箱岩山の山頂部には、天然林らしきヒノキとツガが残っていました(高森山参照)。
 白草山へは、御厩野側と乗政側、黒谷林道から登山道があります。御厩野登山口のさらに上の鞍掛峠からも地図上には道がありますが、一部、道が不明瞭で藪こぎが必要なので一般にはすすめられません。 
【参考】下呂町史編集委員会(1980):飛騨下呂図録、下呂町
川瀬 清(1989):森からのおくりもの、北海道大学図書刊行会

箱岩山から白草山
【登頂日】2002年8月26日など
【標高】1641m
【場所】岐阜県益田郡下呂町
【記録】11:35 御厩野登山口 12:55 水場 13:10 小屋 13:25 白草山着 14:00 白草山発 14:20 箱岩山着 14:40 箱岩山発 14:55 白草山着 15:30 白草山発 15:35 小屋(鞍掛峠方面へ、藪こぎ) 16:30 刈り払い道 16:50 鞍掛峠(自転車) 17:25 御厩野登山口