高樽山のミヤコザサ
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 高樽山へは、林道をマウンティンバイクをひいて真弓峠まで歩きました。真弓峠からはミヤコザサの稜線を藪こぎしました。なかなか手ごわい藪こぎで山頂標識がなかなか現われませんでしたが、ウグイスの声を聞き山の奥深さを感じました。
 ミヤコザサは、最新積雪が50cm以下の少雪地域に分布します。高樽山のある阿寺山地では、南部がミヤコザサ、北部が内陸積雪地域に対応したミヤマクマザサ、さらに北の飛騨深雪地域ではチシマザサ(ネマガリダケ)が分布します。様々な登山記録を読むと、標高1,500〜1,600mでは高樽山から小秀山付近がミヤコザサの北限となるようです。(箱岩山参照川上岳参照白草山参照
 ミヤコザサは、枝分かれせず毎年別の茎を伸ばし、背は50cm程度が一般的です。ただし、場所によってはヒトの背丈程度になります。ミヤコザサの芽の位置は低いので、雪が少ない状態で、芽だけは雪の中に入り寒気から保護されます。その名は、京都の比叡山が基準産地であるところからきています。
 これに対して、丈が2m以上にもなるチシマザサは、茎が何年も生きていて、枝の上部が複雑に分枝しています。そして雪の中に伏せた状態で冬を過ごします。ミヤマクマザサ(いわゆる熊笹)も含む内陸のササに関しては、日本各地のササの地域分化が著しいため分類に混乱を生じているようです。別に園芸品種でクマザサ(隈笹)があり、ササには地域ごとに様々な別名があります。専門家によっても使用するササの名称が異なる場合があり、ササの分類にはややこしいものがあります。
【参考】長瀬秀夫(1987):高山市の植物、高山市
宮脇 昭(1977):日本の植生、学研
大場秀章(1991):森を読む、岩波書店
小坂の三角点調査委員会(1988):小坂の三角点、小坂町教育委員会
川瀬 清(1989):森からのおくりもの、北海道大学図書刊行会
大垣山岳協会(1998):美濃の山(第3巻木曽川水系の山)、ナカニシヤ出版


ミヤコザサの稜線(後方は天狗岳)
【登頂日】1998年4月29日
【標高】1673m
【場所】岐阜県恵那郡加子母村
【記録】7:55 井出ノ小路林道入口 8:25 高樽林道四つ辻 9:45 大滝林道分岐 10:15 カーブ 11:13 真弓峠着 11:20 真弓峠発 13:05 山頂着 13:55 山頂発 14:50 真弓峠着 15:00 真弓峠発 15:20 カーブ 15:40 高樽林道四つ辻 15:50 井出ノ小路林道入口