酒好きの天狗様と天ヶ岩
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 天ヶ岩(てんがいわ)は、萩原町奥田洞から登山道があります。御前山に続く大きな尾根上のピークです。
 天ヶ岩の登山口に行くと、地元奥田洞地区でつくった看板に、天ヶ岩の由来が書いてありました。天ヶ岩の酒好きの天狗様は、山の北側の奥田洞の祭り太鼓が鳴ると、飛んで行ってお酒をおよばれしました。奥田洞では、どの家でも祭りの日、ぴゅーんと風が吹くと1升どっくりの酒が8合くらい減っていました。冬が近くなると南側の萩原の町まで行って「こんちは、酒おくれ」と言って酒屋から酒を買いました。酒屋の主人に「この頭陀袋に酒を四斗(72リットル)入れてくりょ。」と言いました。主人はとても入らないと思いましたが酒は入ってしましました。天狗は代金を酒樽の上にじゃらじゃら置いて風のように去っていきました。なんとなくユーモアのある天狗様です。また天ヶ岩には、平家の落ち武者が軍資金を隠したという言い伝えもあるそうです。
 天狗は、山の中に出現する妖怪のひとつです。江戸時代頃の日本人は、河童とともに天狗は実在すると考えていました。人々は、天狗が神通力を持つと信じ、深山で修行する山伏にワシやタカを重ねたイメージで考えました。(伊吹山大洞山高天良山舟伏山阿寺天狗岳水無山参照)
 天ヶ岩からは北面が開けていて、槍ヶ岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳が見えます。北西には飛騨北部との境界になっている位山3山が見えます。そしてその左にはちょこんと白山の頭が出ていました。益田郡の山からよく見える御岳は御前山の後になって見えませんが、風通しのよい気持ち良い山頂です。(この山はよっせーさんのホームページで初めて知りました。)

宗教民俗研究所(1996):ニッポン神さま図鑑、はまの出版
萩原のむかし話編集委員会(1978):萩原のむかし話、萩原町教育委員会

天ヶ岩から見る飛騨山脈(遠くの白い残雪の山々です)
【登頂日】2001年6月3日
【標高】1049m
【場所】岐阜県益田郡萩原町
【記録】12:15 登山口 12:40 電波塔 12:50 三角点 13:10 天ヶ岩着 13:55 天ヶ岩発 14:10 電波塔 14:40 登山口