大雨見山の飛騨天文台
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 大雨見山は名前の通り、昔は雨乞い信仰の対象であった山です。しかし、今は京都大学の飛騨天文台のある科学の山です。山頂部はなだらかな高原状になっていて、そこに建つ銀色の観測ドームが、飛騨の多くの山から望めます。このドームのおかげでたやすく大雨見山を同定できます。神岡の天蓋山からも丹生川の十二ヶ岳からも、焼岳からもドームを確認できました。
 飛騨天文台では、特に太陽の表面現象を観測しています。かつて見学したとき、天体望遠鏡からの太陽像が六畳ほどの大きさに投影されていました。無数の黒点を肉眼で確認できて迫力がありました。
 この山は地質的にもユニークです。この山をつくる岩石は、大雨見山層群といい、約7,000万年前(中生代白亜紀末期)、ちょうどキョウリュウが滅ぶ頃、激しい火砕流によって噴出した火山岩です。火砕流とは、高温(500〜1,000℃)のガス、火山灰、火山岩塊が一体となって噴出して、斜面を流下(時速100〜200km)する現象です。このような噴火は大陸には多くありません。大雨見山層群をつくる溶結凝灰岩は、噴出して重なった火砕流が、その熱で溶けなおして固まったものです。
 上宝村から林道が天文台まで延びていますが、国府町宮地からも登れます。宮地の林道終点近くでは、柱状に割れ目のある岩壁(柱状節理)を見ることができます。これは、大雨見山層の溶結凝灰岩が冷えるときに体積が収縮して生じた割れ目です。町村境界は刈り払いがしてあります。ただし、尾根が交錯して刈り払いの道も分岐しているので下りのときは注意が必要です。
【参考】岐阜県高等学校地学教育研究会(1995):アースウォッチングイン岐阜、岐阜新聞社
守屋以智雄(1992):火山を読む、岩波書店 

山頂付近にある飛騨天文台(山頂へはここから約15分です)
【登頂日】1999年10月24日
【標高】1336m
【場所】岐阜県吉城郡国府町
【記録】9:40 宮地の林道ゲート(890m) 10:10 林道終点(1160m) 10:45 山頂着 10:55 山頂発 11:05 天文台着 11:20 天文台発 11:35 山頂着 12:35 山頂発 13:00 林道終点 13:25 林道ゲート