水無山と山中の天狗
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 水無山は、飛騨市河合町の北にある県境の山です。富山県側に水無集落や水無八幡宮があることから、富山県側からの山名のようです。飛騨北部の河合付近の山々は、かつて山中(さんちゅう)といいました。河合特産の和紙を、山中和紙というのはそのためです。
 江戸期の飛州志に、山中での天狗怪説が紹介されています。「あるとき、山中で杉を板にしていると、山伏の姿で鼻の高い人物が現れた。天狗かもしれないと思うと、『汝はどうして我を天狗と思うか』と聞いてきた。早く行ってしまえと思うと、『なぜ行ってしまえと思うのか』と聞いてきた。相手は思うことがわかるようであった。そこで無心に板を削っていると、板の破片がはねて天狗の鼻に当たった。すると天狗は、『汝の心は推し量ることができない。なんと恐ろしいやつだ』と言って山に帰ってしまった」心が読める天狗も不可抗力は読めなかったという話です。(大洞山舟伏山天ヶ岩参照)
 水無山へは、河合側から上ヶ島林道を歩きました。林道終点からは、快適な雪の斜面を尾根に上がり山頂に着きました。尾根上には最近刈ったと思われる切開きがあったので、雪の無い時期にも登れるかもしれません。山頂はブナ林の奥ですが、南面の飛騨方面が開けていて古川盆地が遠く望まれました。白山、金剛堂山、白木峰も見えました。
【参考】長谷川忠崇(1745):飛州志、岐阜新聞社(復刻版)
山頂への斜面からの白山
【登頂日】2005年5月3日
【標高】1506m
【場所】岐阜県飛騨市河合町
【記録】9:10 上ヶ島林道(550mカーブ下) 10:10 ゲート(840m) 10:30 サルクラ林道分岐 11:10 林道終点(1320m) 12:00 山頂着 13:05 山頂発 13:35 林道終点 14:00 サルクラ林道分岐 14:10 ゲート 14:50 上ヶ島林道(530m自動車)