水乞いの山・下呂御前山
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 下呂御前山は、萩原の御前山とともに御嶽山の好展望台です。益田郡誌によると、山頂の戸岩は、「高岩す大権現」といい、御嶽山の遥拝所でした(森八幡神社資料)。下呂町史によると、遥拝所跡の手前の祠の御神体は、男性異形の石器です。それは、雨乞いや日和乞いに霊験があり、現在は石彫の男神像に取りかえられています。この祠を現在、高岩大権現と呼んでいます。(御嶽山御前山雨乞棚山拝殿山唐塩山八尾山参照)
 下呂町森地区の人達は、今も水乞いの御前参りをしています。というのは、森地区の水源はこの山になっているためです。お参りは、毎年8月15日、大洞から登ります。森地区では、頂上の手前の祠を表御前と呼び、頂上は裏御前または奥御前と呼んでいます。(小坂の三角点)
 このように下呂御前山は、萩原の御前山とは少し違う信仰の歴史を持っています。萩原の御前山に対して、裏御前、奥御前と呼ぶのではないようです。また、雨乞いに加え、谷水に対する水乞いをすることは珍しいと思います。
 下呂御前山は,阿多野谷大洞から登山道がありますが、近年山腹にできた林道(2本横切っています)からも登れます。下呂町大林地区から林道に入ると、登山口標識があります。上の林道からだと1時間程度で登山可能です。山頂からの展望はすばらしく、御嶽山以外に、下呂の温泉街も一望できます。
【参考】益田郡役所(1916):岐阜県益田郡誌、益田郡役所
下呂町誌編纂委員会(1954)下呂町誌、下呂町
小坂の三角点調査委員会(1988)小坂の三角点、小坂町教育委員会


山頂からの御嶽山
【登頂日】1995年11月5日など
【標高】1411m
【場所】岐阜県益田郡下呂町
【記録】11:00 登山口 11:40 林道 11:45 お助け清水 12:00 8合目 12:20 山頂着 13:55 山頂発 14:30 林道 14:55 登山口