左俣谷に起立・弓折岳
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 新穂高温泉から、小池新道でわさび平小屋をすぎると、正面に高く見える山があります。この山が弓折岳です。弓折岳は笠ヶ岳と双六岳をつなぐ稜線にあり、ここに鏡平から南に延びる弓折尾根がつながっています。弓折尾根は、文字通り、鏡平のところで大きく湾曲して弓のように折れた形の尾根です。
 弓折岳のみを目指して登ることは少ないですが、花の百名山は、弓折岳を百名山のひとつにあげています。「有峰から来ても、槍を通って来ても、ワサビ平から登って来ても、この頂きにくるまでにはかなりな労働が必要とされる。まさに、弾丸も尽き、弓も折れた形で、どさりと草のしとねの上に、大の字なりにひっくりかえりたい地点である。それでいて見返れば、過ぎて来た道のすべてが、それぞれに特徴のある山容を重ね合わせて一望の下に見渡せる。左俣谷の迫(せ)りあう大きな斜面の前方には、槍から穂高の峰々が峨々たる峻嶺を重ね、鳥も通わぬと昔の山の民をおそれさせた滝谷の、息をのむばかりの険崖もすぐ眼の前に、容易には人をよせつけぬ鋭さを誇っている」
 名峰に囲まれた山頂は地味ですが、その山頂からは、槍、穂高連峰を前に、左には双六、黒部五郎、右には乗鞍、御岳、その下には、登路である小池新道の左俣谷が見えます。特に弓折岳から双六小屋に至る稜線は、槍ヶ岳の飛騨側全貌を近くに見るすばらしい稜線です。ここは、もちろん夏にはクロユリ、ハクサンフウロ、チシマギキョウ、クルマユリ等の高山植物のお花畑が広がる、雪田も残る別天地です。
 弓折岳は、残雪期に比較的容易に登れる山でもあります。晴天であれば、下りは雪原をあっという間に降りることができます。
【参考】田中澄江(1997):花の百名山、文芸春秋社
山頂からの槍ヶ岳
【登頂日】2005年4月30日
【標高】2588m
【場所】岐阜県高山市奥飛騨温泉郷
【記録】7:10 新穂高キャンプ場 8:35 わさび平小屋着 8:50 小屋発 9:20 橋 12:40 山頂着 13:40 山頂発 14:40 橋 15:00 わさび平小屋着 15:20 小屋発 16:30 キャンプ場