笠置山の落雷注意
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 岐阜県恵那市の笠置山(かさぎやま)は、雨乞いで有名な笠木山大権現(雨乞棚山参照)を祭る神社が山頂にあります。大権現は別名、大御鎌様とも呼ばれ、笠置山を切り開いたときの鎌です。周辺の村々では、大御鎌様以外の神社の御鎌様(鎌)を地元にお迎えして神事を行いました。雨が降ると、お礼として一対の鎌を奉納したため、神社には五十対、百丁の御鎌様があるといわれます。また神社裏には、洞窟の暗闇の中で光るヒカリゴケがあります。山頂からは、のびやかな山並みの向こうに恵那山や御嶽山を望むことができます。(恵那市史通史編、ぎふ百山)
 この山の山頂で珍しいと思ったのは、岐阜県のつくった落雷注意の看板です。一般に山頂や稜線では落雷の危険が大きいことは知られています。しかし、飛騨山脈や白山でもこのような看板は見たことがありません。少しおおげさではないか。
 この疑問は、岐阜県内の年間平均雷雨日数の分布図を見ると納得できます。雷雨が多い、雷雨日数が30日以上の場所は、岐阜県に2ヶ所あります。ひとつが飛騨南部の益田郡萩原町付近、もうひとつがこの東濃の恵那地方だったのです。他に、データがなくて分布図には出ていませんが飛騨山脈付近も、みなさんが経験しているように雷雨が多いと予想できます。(岐阜地方気象台)(三俣蓮華岳雷倉参照)
 岐阜県は、冬季に雷の多い北陸とは異なり、夏季の雷が多い地域です。夏季の午後は陸地は熱せられるため、陸地の空気は暖まって上昇気流ができます。それを補うように中部地方の周囲から谷に沿って気流が集まる場所が、ちょうどこれらの地域になります。そしてさかんな上昇気流は雷雲をつくるというわけです。雨乞いをすると、雷雨とともに大雨。そんなことが有名になり、雨乞いの神社ができたのかもしれません。
【参考】恵那市史編纂委員会(1989):恵那市史通史編、恵那市
岐阜県山岳連盟(1975):ぎふ百山、岐阜日日新聞社
岐阜地方気象台(1981):創立百年誌、岐阜地方気象台


山頂の落雷注意
【登頂日】1998年7月12日登頂
【標高】1128m
【場所】岐阜県恵那市
【記録】10:23 姫栗コース(舗装終点) 10:52 林道(舗装) 11:50 上の林道(林道歩き) 12:10 登山道 12:33 山頂神社着 14:35 山頂発 14:50 上林道(林道歩き)960m 15:07 登山道880m 15:26 林道(舗装)700m 15:35 登山道660m 15:53 姫栗コース(自動車)480m