二ツ森山と霧越し峠
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 二ツ森山は、中津川市から下呂町方面に北上するとき、左手の双子峰として見つけることができます。新撰美濃志の福岡村の項では、「二ツ森山はその西北に並べり。」と記述してあります。登山道は、地図上の切越し峠からつけられています。山頂は岩盤になっていて、恵那山など中津川方面が一望できます。
 地元の標識では、この峠の名を霧越し峠の字で示しています。この名はまったくの当て字ではありません。なぜなら、ふもとの中津川・恵那の盆地は、秋を中心に盆地霧が発生する場所として有名だからです。
 盆地霧は、晴天日の夜間、放射冷却で冷えた冷気が盆地にたまることによって発生します。冷気は露点に達して霧になります。霧の上には気温の逆転層があります。それより上空ではかえって気温が高くなるため、霧の頭はここで抑えられます。その高さは、数100mであることが多いので、二ツ森山など、盆地周囲の山は、霧より上になります。そして、山からは見事な雲海が見えるはずです。霧越し峠もやはり、霧を登り越すという意味の峠に違いありません。(漆洞山参照)
 岐阜県の山間地では、あちこちで盆地霧が発生します。盆地霧が発生するとき、山の中腹や山頂付近に雲がかかり、頭上は晴天になる地域もあります。(二十五山安峰山参照)
【参考】岡田 啓(1860):新撰美濃志、大衆書房(復刻版)
小気候団体研究会(1994):恵那盆地地方の霧の特性について、天気41巻 

霧越し峠の標識
【登頂日】1998年11月1日
【標高】1233m
【場所】岐阜県恵那郡福岡町
【記録】13:40 霧越峠 14:45 山頂着 15:20 山頂発 15:32 林道(しばらく北上し尾根に戻る) 16:20 霧越峠