山頂は手取層・黒部五郎岳
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 黒部五郎岳の山頂に立って付近の岩石を見ると、所々に丸い「れき」を含む「れき岩」であることがわかります。このれき岩は、手取層と呼ばれる地層に属する堆積岩です。手取層といえば、恐竜の化石が発見された地層として有名です。かつて恐竜が繁栄していたころ、飛騨付近が内湾(海)になったり湖になったことがありました。そのとき湖底や海底、湖岸や海岸の低地に堆積したのが手取層です。時代的には、中生代ジュラ紀中期〜白亜紀前期、約1億5千万年前〜約1億2千万年前ころです。当時、日本列島はなく、付近は大陸のへりのような場所でした。(土倉山参照)
 手取層は、白山の近くの石川県から飛騨地方、富山県にかけて分布しています。特に、黒部五郎岳では、標高2840mの山頂に手取層があります。かつての海抜0m付近の地層が、3000m近くも隆起したわけです。飛騨山脈の隆起は100万年前から始まったといわれます(穂高岳参照)。そのように考えると、長い時間の流れと大地の動きを少しだけ感じることができます。黒部五郎の山頂付近で化石は見つかっていませんが、隣の北之俣岳につながる飛越新道の入口で植物化石を見つけることができます。
【参考】飛騨地学研究会(1988):飛騨の大地をさぐる、教育出版文化協会
貝塚爽平・鎮西清高(1986):日本の山、岩波書店


山頂のれきを含む岩石(左奥は北之俣岳)
【登頂日】2001年7月24日など
【標高】2840m
【場所】岐阜県吉城郡神岡町
【記録】5:00 黒部五郎小屋テント場発 7:30 黒部五郎岳山頂着 8:30 山頂発 10:05 中俣乗越 11:00 赤木岳近くの雪渓着 11:55 雪渓発 12:40 北之俣岳山頂着 14:30 太郎平小屋 14:50 小屋発 15:10 テント場着