桧ヶ尾山と南飛騨のヒノキ
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 飛騨には樹木の名を冠した山が多くありますが、この山もそのひとつです。ヒノキは、「火の木」に由来し、昔火おこしに用いたことによります(岡部、2001)。
 明治7年の飛騨におけるヒノキの分布(上島、1977)を見ると、飛騨の中央部から南部でヒノキが多いことがわかります。これに対し北飛騨は、天然針葉樹が少なく、ブナ、ナラ主体の温帯広葉樹林の山地です。戦後、飛騨各地でヒノキやスギが植林されとはいえ、天然林のこの分布傾向は今も続きます。また川上岳と位山など、飛騨の分水嶺付近の天然林を見ると、ヒノキとブナが混在しています。(高森山参照)桧ヶ尾山は位山や船山の南側にあるので南飛騨に属し、この山域からから南で天然のヒノキが多いといえます。
 南飛騨は、ヒノキ、サワラ、コウヤマキ、クロベ、アスナロの木曽五木を産することから、御料林として重要な場所で、後に国有林として引き継がれました。
 桧ヶ尾山も分水嶺の南にあり、昔からヒノキの多い地域に属します。すぐ南にある下呂市小坂町は、昔から木材の町と呼ばれ、国有林から伐採されるヒノキ等の集積地でした。
 桧ヶ尾山へは、小坊の集落から林道を行きます。北側の林道(荒れていて自動車は入れない)を終点まで歩き、岩塊のある空谷から尾根に上がり、数百m西にヤブを分けると山頂です。山頂には、植林と思われるヒノキがありました。
【参考】岡部 誠(2001):木の名前、婦人生活社
上島正徳(1977):濃飛ところどころ、岐阜大学教育学部地理学研究室
山頂からの船山(左)・位山(右)
【登頂日】2005年4月16日
【標高】1084m
【場所】岐阜県高山市久々野町
【記録】11:37 林道分岐 12:20 林道終点(北側) 12:40 尾根 12:55 山頂着 13:50 山頂発 14:05 尾根の降口 14:20 林道終点 14:50 林道分岐