阿寺山地を望む・奥三界山
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 奥三界山は、阿寺(あてら)山地の最南部の雄峰です。阿寺山地は、北北西から南南東に約60kmにおよぶ山地です。その主稜線は、標高1,900mから1,600mの山々がつながります。
 阿寺山地はまた、阿寺断層の活動により隆起した山地です。阿寺断層は、掘削調査によると第四紀のはじめ、約200万年前から現在にいたるまで、約1,700年周期で活動しました。そのさい、マグニチュード8クラスの地震を伴いました。
 断層のずれの累計は、水平方向に8〜10km、垂直方向に、500〜800mに達します。仮に垂直ずれが500m、1回の地震による断層のずれが垂直方向に5mとして計算すると、500÷5=100で、100回は活動したことになります。ただし、100年以上の時間は、人間の時間感覚を超越しているので、誰でも阿寺断層が危険な活断層だという実感がしません。
 岐阜県東部の接峰面図を見ると、阿寺断層の西側の阿寺山地との境界が直線状の急崖になります。なお、接峰面図とは、地形図上の小さな谷を消し去った地形図です。ちょうど、地形の立体模型に風呂敷をかぶせると、小さな谷が消えて接峰面図の地形になります。これは、侵食作用が無いとした場合の原地形を見るのに適しています。この直線状の急崖は、阿寺断層崖といい日本有数のものです。そして稜線はなだらかな平坦面として現れます。(新巣山参照
 奥三界山へは、川上村の銅穴の滝から登りました。登山道への入り口が、国土地理院の地図と違いました。滝から5分ほど林道を上がり登山道に入りました。山頂には、新しい木造りの展望台があり、阿寺山地を南から縦に眺めることができました。 
【参考】杉村 新(1973):大地の動きを探る、岩波書店
岐阜県高等学校地学教育研究会(1995):アース・ウォッチング・イン・岐阜、岐阜新聞社
佃 栄吉他(1993):阿寺断層系ストリップマップ、地質調査所


なだらかな山頂部(左奥は小秀山、中ほどは井出の小路山、右奥は御嶽山)
【登頂日】1996年11月4日など
【標高】1811m
【場所】岐阜県恵那郡川上村
【記録】8:50 林道ゲート(竜神の滝)9:15 銅穴の滝(この先から歩道) 10:10 上の林道(合流点) 10:55 林道分岐(左へ) 11:15 林道終点 12:18 山頂着 13:25 山頂発 14:25 林道終点 15:19 上の林道(合流点) 15:54 銅穴の滝 16:10 林道ゲート