瓢ヶ岳の鬼退治
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 瓢ヶ岳(ふくべがたけ)は、隣の高賀山、今淵ヶ岳とともに高賀信仰の山です(ぎふ百山)。(高賀山参照今淵ヶ岳参照
 瓢ヶ岳妖怪退治の伝説(美濃と飛騨のむかし話)によれば、養老年間(730年代)ころ、瓢ヶ岳に住むウシに似た姿の鬼が人々を苦しめました。いったん鬼は退治されました。しかし、その後天暦年間(950年代)再び鬼が現れたので、帝の命を受け藤原高光が妖怪退治をします。高光は、ウナギに案内されて川をさかのぼると、虚空蔵菩薩が現れ、粥でもてなしてくれ、魔物は近いぞと励ましてくれました。魔物を退治してみると、顔はサル、体はトラ、尾は大蛇でした。しかし、また別の魔物が現れたので白羽の矢で射とめるとキジの姿でした。
 また、菩薩にお粥をもらった川を粥川といい、この川のウナギは菩薩の使いなので今でも誰もとりません。魔物を退治した場所でその形がサルトラ大蛇だとわかったので、片知(かたち)といいます。今でも片知山、片知渓谷の名が残ります。魔物の骨を焼いたところは、骨ヶ原といいます。最初の魔物がウシに似ていたので、付近では牛を飼わないできたそうです。牛もどり橋という橋がありますが、ウシは足がすくんで通れないといいます。後の魔物はキジに似ていたので、付近の山にはキジがいません。
 瓢ヶ岳の名は、以下の話に基づきます(東海の百山後編)。鬼退治の藤原高光が池畔で休んでいると、水面に12個の瓢(ふくべ、ひょうたんのこと)が浮き出ました。鬼の化身かと身構えると、かき消えました。この伝説から、明治時代、ふくべヶ岳の文字に、瓢の字を当てるようになったといいます。
 瓢ヶ岳へは、片知山登山道から登りました。片知山の上には鉄塔があります。片知山から稜線に沿って瓢ヶ岳まで行けますが、遠回りになるので、急ぐ場合は片知山登山口からさらに進んで、抜戸岩コースから登ることを勧めます。
【参考】岐阜県山岳連盟(1975):ぎふ百山、岐阜日日新聞社
岐阜県小中学校長会(1970):美濃と飛騨のむかし話、岐阜県校長会館
読売新聞中部社会部(2002):東海の百山後編、人間社

登山道の標識
【登頂日】1996年5月25日
【標高】1163m
【場所】岐阜県美濃市
【記録】10:00 片知渓谷林道通行止め地点(標高440m) 10:20 片知山登山口(ここまで林道) 11:05 尾根 11:40 抜戸岩コース分岐 11:55 釜ヶ滝コース分岐 12:00 南岳 12:10 本コース分岐(骨ヶ原) 12:30 山頂着 14:00 山頂発 14:20 骨ヶ原(標高1080m) 15:00 瓢ヶ岳登山口(標高720m、ここから林道) 15:23 片知山登山口(標高600m) 15:43 片知渓谷林道通行止め地点(標高440m)