猿ヶ馬場山と白川郷
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 猿ヶ馬場山は、白川郷荻町の八幡宮の裏手の林道から作業道が山頂平坦部まで達しており、これを利用して登ることができます(白山と北陸の山)。山頂部の平坦地は、チシマザサの中にオオシラビソが点在し、ハイマツもあります。名前は、サルが遊べるくらい広い平坦地からきています(岐阜百山)。飛騨には、兎ヶ馬場(川上岳、オサンババ)、猪臥山、大鼠山など、干支に因む山があります。いずれも身近な動物で、良く目にする動物としてサルの名がついたものでしょう。
 登り口の荻町八幡宮には、次の伝説があります。「オオカミが荻町の里へ出て農作物をあらし、家畜を襲うので里人は困っていました。そのオオカミが、食べた野ウサギの骨をのどにつきさし苦しんでいるのを、八幡宮の神様が助けました。オオカミは、その恩返しに、里に出ないことを約束しました。また、天生峠で、野宿した猟師がサルの大群に襲われた時、これを追い払ってくれました。」(西野、1972)かつては、猿ヶ馬場山から天生峠付近にはサルが多かったのでしょう。
 八幡宮の裏手の林道はすぐにゲートがあります。その手前に自動車を止め、まず林道を登ります。標高650m付近で、スギ林を直登する林道状の広い道に左折します。ここから、宮谷林道との合流地点まで、九十九折の道を登ります。宮谷林道を行き宮谷を左側に渡ります。渡渉したら、山道に変わりますが、林道に近い広い道を登ります。もう一度宮谷を右に渡り、ワサビ田跡を過ぎます。最後の水場を過ぎ、台地に出ると、帰雲山方面との分岐です。左手の道を取り、進んで行くと頂上台地です。
 道の傾斜がゆるやかになった所で、カーブの20mほど手前に赤布があるので、そこから右手上方の踏み跡を20mほど藪の中に入ると三角点があります。ただしここが最高地点ではありません。道にもどり15分ほど行くと道の終点です。終点からは30分程度の薮こぎが必要です。迷いやすい平坦地なので、漫然と入ると迷って危険です。道の終点を山頂としても良いでしょう。山頂標高点付近に行く場合は、まず、道の終点から真っ直ぐ東に藪を分け(所々赤布がある)ます。河合(向こう)側の斜面の手前で進路を南に変え、斜面を左手にしながらハイマツ帯を過ぎてオオシラビソの樹林帯に入ると山頂部です。
【文献】林 正一(2000):白山と北陸の山、山と渓谷社
岐阜県山岳連盟(1975):岐阜百山、岐阜日日新聞社
西野機繁(1972):白川郷の伝説と民話、白川村
山頂平坦地(手前がハイマツ、奥がオオシラビソ)
【登頂日】2010年9月25日〜26日
【標高】1876m
【場所】岐阜県大野郡白川村
【記録】(9月25日)10:10 荻町白川八幡宮上 10:35 分岐(左) 11:50 宮谷林道合流 12:20 宮谷(川を渡る、昼食) 12:40 出発 14:10 帰雲山分岐(左) 15:10 山頂部平(三角点付近、幕営) (9月26日)7:00 幕営地発 7:15 道終点 7:40 終点発 8:30 山頂着 9:00 山頂発 9:30 道終点 10:20 道終点発 10:35 幕営地着 11;25 幕営地発 11:40 三角点 12:15 分岐(帰雲山へ) 12:20 帰雲山 12:40 分岐 13:05 宮谷(川、昼食) 13:30 宮谷発 13:45 宮谷林道分岐(荻町へ) 14:45 分岐 14:30 神社上(自動車)