一匹山とオオカミ
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  一匹山は、白川郷のインターチェンジの東側に見える送電線の山です。天生峠の北側にあります。地図には名前がありませんが、三角点名(1417.6m)は一匹山です。名前の由来は定かではありません。匹は、動物の数を示しています。付近の動物の伝説としては、次のものがあります。ふもとの神社の神様に、のどにささったとげを取ってもらい恩を感じたオオカミが、天生峠でサルに囲まれている里人を助けたという伝説です(西野、1972)。一匹狼という語があるように、オオカミは、新たな縄張りを求めて一匹で行動することもあるようなので、オオカミに関連した山名かもしれません。
 オオカミは、少なくとも明治時代まで日本の山々にいましたが、絶滅してしまいました。狂犬病の流行、えさであるイノシシの減少、明治以降の乱獲などが重なり絶滅に至ったようです(丸山、1998)。ただし、昭和になってからもオオカミの痕跡を、追跡調査したという著書もあります(斐太、1972)。
 一匹山は、牛首谷からの送電線巡視路を利用して登れます。まず、牛首東林道を歩きます。林道が尾根を越えた所で、牛首谷に降りる林道の分岐があります。右の林道を降り吊橋を渡ります。渡ったら吊橋の左横の階段を下ります。ここから巡視道が上流方向に延びています。道は所々崩壊しているので、慎重に登ります。三角点は、道から約10mほど南側に離れた場所にあります。山頂平坦部に上がってすぐ、藪の中を捜したら三角点が見つかりました。さらに巡視道を行き、送電線の所まで行くと、見晴らしがよくなります。山頂部はブナの巨木が林立しています。
【文献】西野機繁(1972):白川郷の伝説と民話、白川村
丸山直樹・神崎伸夫(1998):よみがえれ ニホンオオカミ、別冊太陽(人はなぜ山に登るのか)
斐太猪之介(1972):続々山がたり、文芸春秋
山頂部より、笈ヶ岳(左)と大笠山(右)
【登頂日】2010年10月11日
【標高】1418m
【場所】岐阜県大野郡白川村
【記録】9:20 牛首東林道入口 10:00 吊橋(尾根直登) 12:10 巡視道(1280m) 1245 一匹山三角点 13:10 山頂部鉄塔 13:45 鉄塔発 14:15 三角点着 14:25 三角点発 14:45 巡視道に出た所(巡視道を降りる) 15:55 吊橋 16:25 林道入口