納古山と飛水峡
山語り目次 地図検索
 納古山は、川辺町と七宋町の境にあり、JR高山線や国道41号線沿いから手軽に登れます。また、山頂からの展望の良い山として人気があります。名前の由来はわかりませんが、山の西側に納古口、納古谷があることから、納古谷源流の山です。 
 古くは能古山と書きました。江戸時代には、周辺地域の境界(入会地)を巡って争いが繰り返されてきました(日本山岳会、2005)。納古山の東斜面を横切る塩の道は、昔の物流の道であった飛騨街道の名残です(島田靖ほか、2017
 納古山といえば、初中級者でも登れる岩登りの山です。三角点名は、岩戸山で、岩の峰からきています。この岩は、チャートという堆積岩です。ふもとの飛騨川・飛水峡の岩も同じ岩です。岩石は硬く、層状に堆積しています。そのため侵食に抗して、しばしば険しい岩峰や岩の谷を作ります。美濃加茂市周囲や岐阜市の金華山など、濃尾平野に接する山の多くがチャートの山です。 
 このチャートは、美濃地方の西濃・中農から飛騨南部にかけて、岐阜県の3分の2の面積に広がる美濃帯に属します。美濃帯は、もともと海底に堆積した岩石(チャート、石灰岩、泥岩など)からなります。チャートは、古生代のペルム紀から中生代ジュラ紀(2億9千万年前〜1億4千万年前頃)にかけて、放散虫という微生物の殻が、千年あたり数mmという速さでゆっくり深海底に堆積したものです。この殻は、ケイ酸質(水晶と同じ成分)で、時代によってその殻の形が違うため、堆積した時代を特定するために使われています。美濃帯の岩石は、年間数cmという海洋プレートの動きによって、海洋から日本付近に運ばれ、陸地に付加したものです。(小井土、2011
【参考】日本山岳会(2005):『新日本山岳誌』、ナカニシヤ出版
島田靖ほか(2017):『岐阜県の山』分県登山ガイド、山と渓谷社
小井土由光(2011):『みのひだ地質99選』、岐阜新聞
登山道に露出するチャートの岩盤
【登頂日】2021年11月17日
【標高】633m
【場所】岐阜県加茂郡川辺町
【記録】9:10 川辺町北部公民館駐車場(100m) 9:30 見晴らし 9:45 遠見山 11:00 送電線 12:10 山頂着 12:55 山頂発 13:30 大牧谷分岐(400m) 13:40 林道(大牧谷) 14:30 駐車場