国見岳とカルスト台地
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 国見山(岳)は全国各地に在り、徳久(1991)によると、為政者が自分の領地を見渡すための山、または遊覧目的の山に名付けられています。いずれも地域を全望できるような高さを持つ山が多いとあります。山頂に立つと、東から、恵那山、御岳山、乗鞍岳、白山が良く見えました。そして、伊吹山が大きく横たわっていました。
 国見岳は、石灰岩によるカルスト台地の山です。岐阜県高等学校地学教育研究会(1995)によると、伊吹山も含め付近の石灰岩は、古生代ペルム紀中後期(約2億7千万年前から2億5千万年前)にできた岩石です。もちろん、海中のサンゴ礁が起源なので、サンゴ礁の島が長い時間をかけて、ベルトコンベアーのように移動してきたものです。
 近くの金生山では、石灰岩からフズリナや巻き貝、ウミユリ、サンゴ等の化石が見つかっています。石灰岩はセメント材料となるので、西濃や滋賀県のいくつかの場所で採掘されています。また、大垣城の石垣の多くはこの石灰岩が使われています。(地学教育研究会、1995)
 国見岳の山頂部のあるカルスト台地は、多くの石灰岩が露出してカレンフェルト(墓石)とよばれる風景が広がっています。凹地(ドリーネ)もあり、水が溜まっていました。三重県の御池岳と似た風景です。石灰岩は雨水に溶けやすいので、デコボコした地形や、地下には鍾乳洞を作ることがあります。また、ここの石灰岩は美濃帯と呼ばれる地質の一部です。美濃帯は、海洋底起源の岩石からなり、年間数cmの単位で移動して、今では日本列島に折りたたまれるようにくっついています。奥美濃から美濃加茂、南飛騨から高山市付近にまで分布しており、飛騨大鍾乳洞も、美濃帯の石灰岩が作った鍾乳洞です。
【文献】徳久球雄・三省堂編修所(1978):『コンサイス日本山名辞典』、三省堂
岐阜県高等学校地学教育研究会会(1995):『アースフォッチングイン岐阜』、岐阜新聞
石灰岩の転がる国見岳の山頂部
【登頂日】2023年11月9日
【標高】1126m
【場所】岐阜県揖斐川町春日
【記録】10:05 国見峠 10:30 鉈ヶ岩屋分岐 11:15 国見岳着 11:25 国見岳発 12:00 大禿山着 12:10 大禿山発 12:30 御座峰着 12:40 御座峰発 13:00 大禿山 13:50 国見岳着 14:00 国見岳発 14:35 鉈ヶ岩屋分岐 15:00 国見峠