養老断層の山・養老山
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 養老山は、孝子伝説で有名な養老の滝の背後の山です。そして濃尾平野の西方にいきなりそびえている山塊が養老山地です。平野から急に山になっている理由は、平野と山地の境でもある養老断層を境に隆起した側が山地になったからです。一方断層の濃尾平野側は、沈降が続いたいた結果、堆積物に覆われて平野になりました。これを濃尾傾動運動といいます。
 つまり、養老断層は約100万年前から活動してきました。それに伴い濃尾平野は、養老断層に接する平野の西側ほど沈降しました。逆に濃尾平野の東側の丘陵地は上昇しました。濃尾平野が西に傾いて沈降した結果、平野をつくる厚い第四紀層(堆積層)は平野西部で厚くなりました。木曽三川も特に低湿な平野西部に集まって伊勢湾に注ぎます。
 養老山のある稜線は平野から急に突出しているため、天気さえよければ濃尾平野のすばらしい景観を見ることができます。写真のむこうには、恵那山が見えました。写真では濃尾平野の田の黄緑色がきれいです。写真の手前、濃尾平野と山地の間に濃い緑色の平地があります。この平地は、山地と平野の境界にできた扇状地です。濃い緑色は樹木の色です。扇状地は、山地から川が運んだ土砂がたまった場所なので、水はけが良くて田に必要な水の便がよくありません。そのため、扇状地はかんがいでもしない限り、田には利用しにくい土地です。扇状地の端からは、扇状地の下に染込んでいた水が、涌き水となって出てきます。この山麓は、豊富な涌き水のある地域でもあります。
【参考】貝塚爽平ほか(1985):日本の平野と海岸、岩波書店
貝塚爽平(1977):日本の地形、岩波新書
岐阜県高等学校地学教育研究会(1995):アース・ウォッチング・イン・岐阜、岐阜新聞社
 

養老山の稜線から見た濃尾平野
【登頂日】1993年9月26日
【標高】859m
【場所】岐阜県養老郡養老町
【記録】 9:30 養老の滝駐車場発 10:40 元牧場 12:00 養老山頂着 12:20 小倉山着 13:25 小倉山発 14:20 養老の滝駐車場着