若栃山と若栃おまつ
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 小坂町にある若栃山は登山道のない藪山です。しかし、その名の面白さから岐阜県の藪山愛好家にとって気になる存在です。付近に若栃(わかどち)谷、若栃平という場所があることから山名はここからきたと思います。江戸時代の地誌、飛騨国中案内にも、湯屋(小坂町)から乗政(下呂町)に至る杣道の紹介とともに若栃の名が出てきます。若栃平には次のような、美人巫女の伝説があります。
 昔、若栃平に「まつ」という美人の巫女が住んでいました。村人達は、「若栃おまつ」と呼んでいました。おまつは、若栃平から湯屋や落合の集落へ行き、家の方角や運勢を占い、一文、二文と銭をもらって暮らしていました。その占いは不思議とよく当たるので、おまつはたいへんお金をためました。そんなある日、おまつは、村人に「お金は、朝日ささぬ、夕日ささぬミツバウツギの木の根元に埋めました。」と言って行き先も告げずいなくなりました。村人達は、しばらく仕事を休んでまで、あちこちのミツバウツギの木を掘りましたが、とうとうお金は見つかりませんでした。なぜ、おまつは、お金を埋めて急にいなくなったのか後々まで謎のままになりました。
 若栃山へはカラ谷林道を登りました。キジとサルを見たので、後はイヌだけでした。作業小屋の左横に反射板への登り口の目印があったので、この道を利用して尾根まで登りました。稜線には、営林署の境界の杭があり踏み跡もありました。若栃山へは、カラ谷林道をさらに上がって、尾根に取り付いたほうが近道になるようです。
【参考】小坂のむかし話編集委員会(1980):ひだ小坂のむかし話、小坂町教育委員会
上村義満(1746):飛騨国中案内、大衆書房(復刻板)

若栃山に続く紅葉の稜線
【登頂日】1996年10月10日
【標高】1593m
【場所】岐阜県益田郡小坂町
【記録】9:27 カラ谷林道ゲート 10:52 作業小屋(反射板登山道) 11:38 反射板着(1453m) 11:55 反射板発 13:18 山頂着 14:30 山頂発 15:02 1489m峰手前着(尾根、赤テープ) 15:10 1489m峰手前発 15:55 林道 16:05 作業小屋 17:10 林道ゲート