杓子平カール・笠ヶ岳
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 1万年以上も前の氷河時代には、日本の山岳にも氷河がありました。その証拠は、笠ヶ岳周辺などに残る氷河地形でわかります。氷河地形の代表格がカールというスプーンでえぐったようなおわん状の地形です。氷河は流れながら、氷河の上部がこのような地形を削りあげました。
 日本でカールが残るのは、飛騨・木曾・赤石の中部山岳そして北海道日高山脈にすぎません。ちなみに、富士山など火山にはカール地形はありません。氷河時代よりも新しい時代に噴火しているからです。
 カールは、稜線の東側に多くできます。冬の季節風が北西〜西であるため、雪が稜線の東側に多く吹きたまるからです。そのため槍・穂高連邦では東側・信州側に涸沢カールなど立派なカールがあります。笠ヶ岳は山体がすべて飛騨側であるため、笠ヶ岳周辺には、飛騨を代表するカールがあります。その中でも、登山道がある杓子平カールが有名です。
 杓子平カールは、大きなカールの最上部に小さなカールが割り込んだ複合的な地形をしています。これは少なくとも2回の氷期があったことを示します。氷河期は1回あっただけではなく、間氷期をはさんで繰り返し何回もありました。飛騨山脈南部のカール底の高さは、平均2,600mあたりです。氷河時代は氷河のできる高度がこのあたりであったわけです。これを雪線といいますが、現在の雪線高度は標高4,000mです。したがって現在は、日本には氷河が発達しません。(黒部五郎岳参照
【参考】小泉武栄・清水長正(1992):山の自然学入門、古今書院

杓子平カール

【登頂日】2000年7月21日など
【標高】2898m
【場所】岐阜県吉城郡上宝村
【記録】5:40 新穂高バスターミナル 6:40 笠新道入口着 7:00 入り口発 8:23 1700m表示 8:43 1800m表示 9:12 旧道分岐 9:25 1920m中間表示 9:43 2050m地点着 10:00 2050m地点発 10:15 2100m表示 10:45 2200m表示 12:20 しゃくし平着 12:30 しゃくし平発 12:55 しゃくし平雪渓着 13:30 しゃくし平雪渓発 14:35 稜線着 15:03 稜線発 15:38 抜戸岩 16:10 笠ヶ岳テント場着 16:40 笠ヶ岳テント場発 17:00 笠が岳山荘 17:15 笠ヶ岳山頂着 17:35 山頂発 17:52 テント場