双六岳の構造土
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 双六岳は、ゆるやかな高原のような大斜面を持つ山です。山頂部の平坦地に登ると、その平坦地では、構造土を観察できます。構造土は、土壌の凍結・融解作用によって、砂礫がふるいわけを受けてできます。その地表面の模様の総称が構造土で、その地形を周氷河地形といいます。
 構造土は、その形態によって亀甲土(きっこうど)または多角形土、円形土、条線土などに分類できます。双六岳のような高山帯の平坦地にできるものは、たいてい円形土です。写真ではやや大きな岩石が円形に集まって模様をつくっていることがわかります。火山の火口湖などでは、みごとな甲羅状の模様の亀甲土ができます。斜面では、岩石のれきが線状に並ぶので条線土といいます。これらの模様は地下深いところまでつながっています。
 このような構造土ができる場所は、植生が少なく、移動可能な砂れきがあり、さらに凍結・融解作用が頻繁におきる気候環境の場所です。このような場所は、北極圏のツンドラですが、日本では中部山岳や北海道などにしかありません。構造土は人が踏み荒らすと壊れてしまいます。できるだけ踏みつけないよう見ましょう。
【参考】小泉武栄(1998):山の自然学、岩波新書
田代 博ほか(1996):山の地図と地形、山と渓谷社

双六岳の構造土

【登頂日】2000年8月3日〜5日など
【標高】2860m
【場所】岐阜県吉城郡上宝村
【記録】6:55 わさび平 8:25 秩父沢 8:40 チボ岩 9:12 イタドリヶ原 9:45 シシウドヶ原 10:50 鏡平着 11:35 鏡平発 12:25 稜線分岐着 12:40 分岐発 14:00 双六小屋着 14:40 双六小屋発 15:30 双六山頂着 15:40 山頂発 16:15 双六小屋着