枝分かれの谷地名・西俣山
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 小坂町にある西俣山からは御嶽山を真正面に見ることができます。近くに西俣谷、東俣谷の名があることから、西俣谷の源流の山としてその名が付けられたようです。また(俣、股、又)のつく谷地名は、岐阜県内の地図を見ただけでもいくつも発見できます。これらを、仮に「また地名」とします。
 「また地名」は、枝分かれしている谷地形に名付けられています。たとえば岐阜県内では、左俣谷と右俣谷(槍穂高連峰の飛騨側)、北ノ俣川と中ノ俣川(源頭はそれぞれ北ノ俣岳と中ノ俣岳こと黒部五郎岳)、西股谷と東股谷(東濃の付知峡)、漆谷北又と漆谷南又(奥美濃の濃郷白山の山麓)などがあり、近県でも他にいくつも見つかります。
 明治17年(1884年)の20万分の1の地図(岐阜県の地名)を見ると、小坂町付近に西俣山の名はありません。しかし岐阜長野県境に東俣山の名があります。これは、西俣山の対岸にある東俣谷の源頭、若栃山近くの1730m峰であると推測します。
 西俣山へは、自動車で小坂町若栃谷を行きます。西俣谷は、若栃谷に合流する渓谷です。西俣谷入り口からの林道は行き止まりなので、さらに若栃谷を500mほど行きます。すると西方に登る林道があるので、そのゲート前に車を置きます。この林道は、西俣山の北東方の地図上1442m付近まで伸びています。1442m付近の尾根を山頂までたどります。この尾根は藪こぎとなりますがあまりひどいものではありません。山頂三角点は、ヒノキとミヤマクマザサの中でした。帰りには、あかね色の御嶽山を見ることができました。
【参考】平凡社地方資料センター(1989):岐阜県の地名、平凡社

西俣山林道からの夕暮れの御嶽山
【登頂日】1997年11月24日
【標高】1506m
【場所】岐阜県益田郡小坂町
【記録】11:25 西俣谷入り口 900m 11:35 右岸林道終点 沢登り 980m 12:25 左岸林道 1160m ケーブル 12:47 作業小屋 13:18 林道辻 やぶこぎ 1430m 14:45 山頂着 15:25 山頂発 16:30 林道辻 16:50 作業小屋 17:05 ケーブル 17:25 左岸林道入り口 17:35 西俣谷入り口