海底地すべりを示す魚金山
山語り目次  地図検索
 魚金山(いおがねやま)は、伊吹山や舟伏山と同じくサンゴ礁起源の石灰岩の山です(伊吹山参照舟伏山参照)。魚金山も含め、付近の美濃帯(美濃地方中西部、飛騨の一部)と呼ばれる地層は、赤道方面から海底の動きとともにやってきた付加体です。魚金山の山頂付近は石灰岩です。しかし、山体の多くの部分は泥岩や石灰岩、チャート(海底で放散虫などの微化石の殻のケイサン分が堆積した石)、玄武岩(海底火山の溶岩)などが混ざり合っています。舟伏山の上部が全部石灰岩であることに比較して異なります。
 これらの岩石や地層は、中生代ジュラ紀(約2億8百万年〜1億4千6百万年)頃、魚金山の岩体が今の日本付近の海溝まで移動して、当時の大陸に付加するとき複雑になりました。つまり海山は、海底の岩石より軽いため、海溝のところで陸地に乗り上げます。このとき海底地すべりや、断層活動により様々な岩体が複雑に積み重なったと推定されます。このように考えると、石灰岩の化石が古生代ペルム紀(約2億9千万年〜2億4千5百万年前)を示すのに対し、他の岩石の微化石が中生代三畳紀、ジュラ紀(約2億4千5百万年〜1億4千6百万年)を示していて年代が違うことを説明できます。ただ、以上のことは、人間の時間感覚をはるかに越えた時間の中で起こった出来事です。美濃帯については、詳しくわかっていないこともあります。(冠山参照
 魚金山には、高尾谷林道から入ります。林道が尾根から西側に降りる地点で車を止め歩きました。林道は山頂近くまであり、石灰岩がごろごろしていました。赤布の目印から林道を離れ尾根に上がり、登り返すと山頂でした。三角点は頂上より300mほど先にあります。
【参考】脇田浩二(1991):谷汲地域の地質、地質調査所
斎藤靖二(1992):日本列島の生い立ちを読む、岩波書店
 

山頂と石灰岩の露頭(右崖)
【登頂日】1998年12月26日
【標高】940m
【場所】岐阜県本巣郡根尾村
【記録】12:05 標高870m地点(林道横に車を止め尾根に入る) 12:30 山頂三角点着 13:35 三角点発 14:10 870m地点