【極意教歌】目次


  古くから各流派とも弓道における極意の「伝達/指導」方法として教歌を詠んだそうで、その数は数千数百首あるそうです。ここでは、数ある中より代表的な教歌を掲載させて頂きました。
 
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◆ 「修練の心得」編
◆ 「足踏み」編
◆ 「胴造り」編
◆ 「弓構え」編
◆ 「打起し」編
◆ 「引分け」編
◆ 「会」編
◆ 「離れ」編
◆ 「残心(残身)」編


「修練の心得」に関する教歌編


  @ 弓は唯 内を正しく 外直く、 詰と固めて 的審かれ
    (ユミハタダ ウチヲタダシク ソトナオク、ツメトカタメテ マトツマビカレ)
  A 見所の 無杜弓の 上手なれ、是六根の 揃ふゆへなり
    (ミドコロノ ナキコソユミノ ジョウズナレ、 コレロッコンノ トトノウユエナリ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「足踏み」に関する教歌編


  @ 足踏みは 其身によりて 替るとも、股腰つよく 膝も浮かざれ
    (アシブミハ ソノミニヨリテ カエルトモ、 モモコシツヨク ヒザモウカザレ)
  A 踏開く 広さ狭さの 足間は、己が矢束の 程にしたがへ
    (フミヒラク ヒロサセマサノ アシアイハ、 オノレガヤズカノ ホドニシタガエ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「胴造り」に関する教歌編


  @ 胴は只 常に立ちたる 姿にて、退かす掛らず 反らす屈まず
    (ドウハタダ ツネニタチタル スガタニテ、 ヒカズカカラズ ソラズカガマズ)
  A 胴が伏す 射手に数多の 難ぞある、むね尻出て 顔はそりけり
    (ドウガフス イテニイクタノ ナンゾアル、 ムネシリイデテ カオハソリケリ)
  B 腹形は さわらぬ息を よく詰めて、丸く満るぞ 強きなりけり
    (ハラガタハ サワラヌイキヲ ヨクツメテ、 マルクミチルゾ ツヨクナリケリ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「弓構え」に関する教歌編


  @ 弓構えは 左右の拳 腰の詰、張り合ふ気をば 腹に鎮めて
    (ユガマエハ サユウノコブシ コシノツメ、 ハリアウキオバ ハラニシズメテ)
  A 弓構えは 押手勝手を ろくにして、延びす屈まず 身通ぞよき
    (ユガマエハ オシテカッテヲ ロクニシテ、 ノビズカガマズ ミトオシゾヨキ)
  B 勝手をば 大事になせよ 虎の尾を、握る心と おもいさためて
    (カッテオバ ダイジニナセヨ トラノオヲ、 ニギルココロト オモイサダメシ)
  C 顔持ちは すなほに肩の 上におき、目に癖なきを 物見とぞいふ
    (カオモチハ スナオニカタノ ウエニオキ、 メニクセナキヲ  モノミトゾイウ)
  D 手の内は 物を追取る 心にて、大指あけず 柔かにとれ
    (テノウチハ モノヲオイトル ココロニテ、 オオユビアケズ ヤワラカニトレ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「打起し」に関する教歌編


  @ 風もなく 空に煙の 立ちのぼる、心の如く 打ち上げよかし
    (カゼモナク ソラノケムリノ タチノボル、 ココロノゴトク ウチアゲヨカシ)
  A 打起 構へしままに 重々と、押手勝手に 片つりをすな
    (ウチオコシ カマエシママニ オモオモト、 オシテカッテニ カタツリヲナス)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「引分け」に関する教歌編


  @ 引取りは 実に大鳥の 羽をのして、雲井を下る 心得ぞよき
    (ヒキトリハ ゲニオオトリノ ハヲノシテ、 クモイヲクダル ココロエゾヨキ)
  A 打渡す 烏兎の梯 直ぐなれど、引渡すには そり橋ぞよき
    (ウチワタス ウドノカケハシ スグナレド、 ヒキワタスニハ ソリバシゾヨキ)
  B いか程も 強きを好め 押すちから、引くに心の ありと思へよ
    (イカホドモ ツヨキヲコノメ オスチカラ、 ヒクニココロノ アリトオモエヨ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「会」に関する教歌編


  @ 押し手をば いかにも直に さしのばし、なにをふ山を 押す心せよ
    (オシテヲバ イカニモスグニ サシノバシ、 ナニヲフヤマヲ オスココロセヨ)
  A 持満とは 矢束一盃 引きつめて、発れぎわまで 息にさわらじ
    (ジマントハ ヤズカイッパイ ヒキツメテ、 ハナレギワマデ  イキニサワラジ) ※ 注[ジマン = タモチ]
  B 剛は父 懸は母なり 矢は子なり、片思ひして 矢は育つまじ
    (ゴウハチチ カケハハハナリ ヤハコナリ、 カタオモイシテ ヤハソダツマジ)
  C 釣合は 左右の腰と 肩骨と、肱の力に 気と心なり
    (ツリアイハ サユウノコシト カタボネト、 ヒジノチカラニ キトココロナリ)
  D 身のくさび 心のくさび 手のうちの、くさびをしめて 引くなゆるすな
    (ミノクサビ ココロノクサビ テノウチノ、 クサビヲシメテ ヒキナユルスナ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「離れ」に関する教歌編


  @ 能く引いて ひくな抱えよ 持たずと、離を弓に 知らせぬぞよき
    (ヨクヒイテ ヒクナカカエヨ タモタズト、 ハナレヲユミニ シラセヌゾヨキ)
  A 朝嵐 身にはしむなり 松風の、目には見えねど 音のさやけき
    (アサアラシ ミニハシムナリ マツカゼノ、 メニハミエネド オトノサヤケキ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −


「残心(残身)」に関する教歌編


  @ 射放して 肘に残せる 心こそ、跡の澄ましの その一つなれ
    (イハナシテ ヒジニノコセル ココロコソ、 アトノスマシノ ソノヒトツナレ)


                      − 全日本弓道連盟 「弓道小事典」より −