川上岳(かおれだけ)のムラサキシキブ
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 飛騨北部と南部を隔てる位山分水嶺。その最高峰が川上岳(かおれだけ 標高1625m)です。北側の宮村、東側の馬瀬村(まぜむら)、南側の萩原町(はぎわらちょう)の3方向から登山道があります。山頂部はミヤマクマザサのササ原になっていて、飛騨の周囲、東西南北の大展望が約束されます。乗鞍岳と御岳の間からは、木曽、赤石山脈も見えました。
 高校登山部の登山大会に同行し、秋の川上岳に登りました。萩原町山之口から林道を歩き、登山口を歩いていると、紫色の美しい実を見つけました。同行の方に尋ねると、ムラサキシキブという優美な名の落葉低木でした。品種はクマツヅラ科ムラサキシキブ属です。園芸品種にコムラサキシキブがあり、園芸品種のほうが実の密度が高いようです。ムラサキシキブは、北海道南部から南の落葉樹林内に生息し、初夏に淡紫色の花を咲かせ、秋に紫色の実をつけます。紅葉とセルリアンブルーの空に、鮮やかな紫色の実が光っていました。花言葉は「聡明」。やはり、学校の国語で習ったあの紫式部がイメージされます。
 川上岳に登ると、秋の山はカラフルです。ウリハダカエデの黄色い葉やヤマモミジの赤い葉、ホウノキの茶色い葉が印象的でした。また山頂付近に登ると、尾根上ではアカミノイヌツゲの赤い実、尾根の斜面ではイヌツゲの黒い実を見ることができました。 山頂からの高山盆地は、昼頃まで、秋の名物の盆地霧の底でした。

【参考】山口昭彦(1997):身近な木の花ハンドブック、婦人生活社
馬場多久男(1999):葉でわかる樹木、信濃毎日新聞社

萩原町山之口側の登山道にあったムラサキシキブ
【登頂日】2001年10月27日など
【標高】1625m
【場所】岐阜県益田那萩原町
【記録】6:40 山之口キャンプ場 8:15 登山口 8:20 沢着 8:30 沢発 9:40 尾根着 9:55 尾根発 10:50 山頂着 12:40 山頂発 13:25 尾根 14:20 沢 15:40 山之口公民館