山岳別の構造土の比較
周氷河地形と構造土  山の雑話目次

双六岳・飛騨山脈の構造土(円形土)2006.8.11

乗鞍岳・飛騨山脈の構造土(円形土)2006.8.2

上河内岳・赤石山脈の構造土(円形土)2007.8.17

八ヶ岳(横岳)の構造土(円形土)2014.8.18

忠別岳・大雪山系の構造土(円形土)2022.7.28

化雲岳・大雪山系の構造土(円形土)2022.7.27

構造土とは、水分を含む土壌の凍結・融解に伴いできます。0℃の氷の体積は膨張しますが、凍上して低温が進むと、氷の体積は逆に収縮します。構造土は、その形状により、多角形土(亀甲土)、円形土、条線土などに分類され、地表に幾何学的な模様ができます。
 多角形土は、亀の甲羅状の模様のため亀甲土ともいいますが、凍結に伴って地表にできた割れ目が原因とされます。円形土は、凍結・融解の繰り返しにより、盛り上がった凸地から礫が低い周辺部に移動して円形の輪郭になります。多角形土や円形土は、平坦地と砂礫のある、火山などに多いといえます。一方、条線土は、やや傾斜のある斜面にできる構造土で、砂礫が線状に縞模様を作って並びます。円形土が斜面の影響で変形したものです。
 北海道の構造土(円形土)の写真が撮影できたので、飛騨山脈や赤石山脈の構造土と比較してみました。まず大きさですが、写真の中の指標(スケールなど)を元に比較すると次のようになります。双六岳(直径16cm)、乗鞍岳(18cm)、上河内岳(28cm)、八ヶ岳(30cm)、忠別岳(25cm)、化雲岳(中の構造土18cm、外の輪郭をつくる構造土110cm)。
 どの山岳の構造土(円形土)も形態やサイズが似ています。ただし、北海道には、化雲岳のように大きな構造土の中に小さな構造土のある場合が何カ所かありました。本州と北海道の山岳を比較したとき、環境の違いを反映しているのでしょうか。小あぜ(2005)によると、トムラウシ周辺には直径1mもの構造土があるとのことです。いろいろ比較すると何かわかるかもしれません。
【文献】小あぜ尚(2005):山に学ぶ、古今書院