今月のトピックス
L 前十字靭帯の手術までと手術後のケア
 ■リハビリと治療、同時進行
太郎(以下太)●先生、東京まで行ってきたの?
よもぎ先生(以下よ)●神奈川県の川崎市だよ。
太●ふぅ〜ん。やっぱり東京に行ってきたんだ!
よ●ここ数年スキーのトレーナーで担当していた、
太●東京都スキー連盟の五藤伯文さんのこと?
よ●そう、彼がこの1月に国体予選で、頑張りすぎて大転倒しちゃって、前十字靭帯を切断しちゃって、
太●前十字靭帯って、膝の曲げ伸ばしに大切な働きするんだよね。
よ●これが切れちゃうと膝の関節が不安定になり、膝下のすねが必要以上に動いてしまって、
太●あっち向いてホイ、こっち向いてホイとなるのか。
よ●ジャンケンじゃないんだけど、向いてはいけない方向にいったりして、曲げられなくなったり、
   歩くのもままならなくなるんだ。
太●それでどうしたの?
よ●先日、やっとで手術して、今は、来期に向けてリハビリ中なんだ。
太●リハビリ中なのに治療できるの?
よ●この期間が大切なんだ。
太●動かせる幅とか、筋肉を着けるのは、リハビリによって直すんでしょ。
よ●可動範囲確保・改善、筋力回復するには、リハビリと共に、筋肉の腫れや張りを取ったりして、
   関節の環境を整えることも必要なんだ。
太●リハビリをやって、徐々に動かしつつ、
よ●そうなんだけど、時間は掛かるし、効率が悪く限界もある。
太●それじゃ完治しないの?
よ●どこまでを完治というのかが問題だけど、「完全に曲げられない」「曲げると痛みが残る」
   「動かすと不安な感じがする」など後遺障害が残っている場合がある。
太●だから治療する、でなくて、治療しなければいけないんだ。

 ■筋肉の緊張を取らなくては!
よ●関節は、筋肉・靱帯・関節包などで頑丈に包まれている。
   またそれらが上下・前後・左右と強調し合って複雑な動きを可能にし、
太●更にスムーズさもいるんだよね。
よ●後ろの筋肉が縮んで、前の筋肉が伸びると、そこは
太●後ろに曲がる。
よ●力を抜いた状態では、筋肉は、リラックスしていて柔らかい。
太●緊張して硬い筋肉があったとすると、
よ●ある方向は、動かし安く、反対の方向には、抵抗があり動かしづらい。
よ●そこでね仮にね、骨折や靱帯が切れたとすると、
太●痛そうなお話だなぁ〜。
よ●よぉ〜く考えてみて。靭帯や、骨が折れるくらいの力が掛かったんだから、
   その時には、関節・筋肉・靭帯はぎりぎりまで耐えていたハズ。
た●そうだよね、頑張ったよね、負けちゃったけど。
よ●もし、負けずに耐え抜いたとしたら、
太●折れたり切れたりしなかったの?
よ●だふんね、ねじ違いや筋肉痛は、残るけどね。一生懸命耐えてくれた筋肉さんが、
   関節や靭帯を元の状態にしてくれるはず。
太●ほぉ〜。すごいね。
よ●一生懸命耐えて耐えて耐えきれずに、限界を超えたから、関節・靭帯がプッツンとなった。
   プッツンとなったから、
太●筋肉さんは、緊張したままなの?
よ●そう、関節・靭帯を戻さなくてもいいから、最高に縮んだままなんだ。手術をして再建しても、
太●筋肉などは縮んだまま?
よ●だからリハビリなどをするんだけど、時間が掛かる。
太●なるほど、治療してそれを取ってあげるのか。
よ●筋肉の緊張が強いままだと、元通りには再建しずらい。
太●ゆがみを付けてしまうね。
よ●だから関節や筋肉の張りや腫れをほどよくコントロールしてよい状態にすると、
   リハビリが効果的にいくんだよ。

 ■なんと!
太●それは、大切だ!フム!五藤さんは、どんな具合だったの?
よ●筋肉の張りが残っていて、膝を動かすのにスムーズさがなく、ぎこちない。
太●びっこひいてるの?
よ●けが人ぽく振る舞ってたな。
太●手術の傷跡は?
よ●それはわずかなんだけど、押さえると痛みがあり、周りの突っ張りと腫れが残っていて、
   「皮膚がぼやけた感じがある」と言っていたな。
太●それは取れないの?
よ●いわゆる癒着みたない物で、皮膚の突っ張りをちょっとずつだましだまし緩めるとなくなっていくんだよ。
太●ほかってたら取れないの?
よ●しっかりと固まってしまうと難しくなるなぁ。
よ●何しろけがをした時、国体予選大会中現場での最初のアイシングなどの処置がよくて、
太●ABCっての?
よ●それは、A:airway-気道確保、B:breathing-人工呼吸、C:cercuration-循環・心マッサージで、
太●RICEっやつか。
よ●それそれ、R:rest-固定・休息、I:iceing-氷で冷やす、C:compression-圧迫、
   E:elevation-患部の挙上、という救急法のも4原則。
   それで、内出血や腫れを抑えたこと。また、幸いに、元々膝のあそび・ゆるさが少なく立派。
太●うらやましいでしょ、先生。
よ●私の膝は、グラグラだからね。五藤さんのけがをした膝は、私の良い方の右膝より安定している。
太●先生の左膝は、最悪。膝の緩さでは勝ったね。
よ●まぁっ、ね…。けがの後の経過は良くって、手術に望んだんだ。
太●今回治療してきたんでしょ。
よ●今は、だいぶスムーズに動かせるし、だるさも減ったと思う。腫れぼったさは、良くなったね。
   長時間立っているのは、不安が残るけど、曲げ伸ばしもわりと力が入るし、まあまあかな。
   手術後4週間ボチボチかな、まあ順調たよ。
太●ねえねえ、手術まで間があったけど、どうして。
よ●日本でも屈指の靭帯再建手術の先生で、順番待ちと、チョットのわがままでネ。
太●もしかして、その間もスキーをやっていたのでは。
よ●それがね、最初は、ブーツも履けなくって、当然歩けないから、
   スノーモービルのタクシーでゲレンデを移動していたんだ。
太●そのときも診てあげたの?
よ●何回治療したかな。
太●もしかして、痛い治療?
よ●痛いのもあったかも…、
太●かなりやったね、先生。
よ●まあぁね、時間がなかったからね、
太●可動範囲とか、腫れはどうだった?
よ●程々にね。1月中頃にけがをして、手術前の3月はじめには一般スキーヤーと
   変わりないくらいの滑りをしていたね。ついて行けないくらいの早さで滑ってたな。
太●だったら手術をやらなくてもよかったのでは?
よ●周りからは、本当に靭帯を切っているのか疑われるくらいスイスイと滑っていたね。
太●もしかしたら、八方尾根スキー場の春っぽい雪で?
よ●そんなところもあったなぁ。
   東京都の監督だったから無理はしていなかったと思うけど、
   宿に帰ると直ぐにアイシング、びっこは引いていたけどね。
太●…
よ●最後の最後に監督としての緊張から解放からか、気を抜いたところで、
   また痛めたらしく、「完全に復帰するには、手術」とドクターに言われ
   決心はしていたけど、あきらめきれなかった「手術やらなくてもいいかな」
   という思いにとどめを刺し、予定日に手術をしたんだ。
太●手術の後の治療は?
よ●なかなか川崎まで行けなくって
太●やっとで行ってきたんだ!まだ行くんでしょ、今度僕も連れて行ってネ、東京へ。
よ●今回、お昼をご馳走になったんだけど、これがねまた美味しいんだなぁ。
   そしてね、かわいい猫もいて…。
太●それが目当てなの?


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