【弓構え】とは
 いよいよ射の活動に移る直前の準備動作である。したがって、「足踏み」、「胴造り」による基礎体勢を保持しつつ、呼吸を整え気力を充実して動作しなければならぬ。
「弓構え」の中には、「取懸け」「手の内」「物見」の三つの動作が含まれている。
 「取懸け」では、右手の前膊と弦が直角の角度であって、手首が曲がらぬように注意しなければならない。
ことに、「手の内」は弓の力をよく働かせ、矢の速度、貫徹力、飛翔力、集中力に影響する大切な技法であって、昔から「鵜の首」「紅葉重ね」「卵中」「握卵」等の名称があるが、要するに弓を固く強く握らず、あたかも卵を握るような気持ちを表現したもので、むずかしいことであるから、指導者について修練することが必要である。
 以上の準備ができて、手首や肘は柔らかに物を抱くような気持ちで弓矢を保ち、それから頭を正しく的に向けて注視する。これを弓道の術語で「物見を定める」という。


             − 「弓道教本」 全日本弓道連盟より −