浄土真宗の里を望むゾウゾウ山
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 ゾウゾウ山は、合掌造りで有名な白川村の里山です。その面白い山名の由来はよくわかりません。山の西側の山腹を巻く林道もゾウゾウ林道といいます。インターネットで同様の地名がないか調べましたが、石川県の海岸にゾウゾウ鼻があるのみでした。アイヌ語地名ではないかとの話もありますが、北海道に似た地名がないことから、アイヌ語とも言い難いと思います。
 東海北陸自動車道の白川インターを降りると、西側に丸みを持ったゾウゾウ山があります。ゾウゾウ山の南には卒塔婆峠があり、そこからゾウゾウ林道を使って山頂に達することができます。山頂の平坦地には、御鍬屋敷があったと伝えられます。御鍬祭りとは伊勢神宮から迎える農業の神ですが、どのような屋敷であったかはわかりません。「岐阜百山」では、木地師(小椋姓)の屋敷の跡ではないかと推測しています。
 ふもとの鳩谷(はとがや)は、かつて飛騨一円の浄土真宗布教の中心地でした。鎌倉時代、親鸞上人の弟子、嘉念坊善俊が鳩谷道場(後の照蓮寺)を開き布教をしたからです。戦国時代の頃、鳩谷道場は一大勢力となり、この地に進出してきた内ヶ島氏と戦になりました。この時(1488年)、嘉念坊明教は、卒塔婆峠に追われ、そこで自害したといわれます。その後、難を逃れた明教の息子は、内ヶ島氏と和解し、明心と名乗ります。そして道場を復興することになります。
 卒塔婆峠の地蔵尊やゾウゾウ林道に入ると、このことを記した案内板がありました。山行当日、林道は雪に埋もれていましたが、山頂付近は雪が消えていました。林間から、猿ヶ番場山、三ヶ辻山、鳩谷の集落等が望めました。
【参考】岐阜県山岳連盟(1975):ぎふ百山、岐阜日日新聞社
西野機繁(1972):白川郷の伝説と民話、白川村刊行協会
ゾウゾウ林道から三方岩岳
【登頂日】2009年4月12日
【標高】952m
【場所】岐阜県大野郡白川村
【記録】11:25 卒塔婆峠 12:25 ゾウゾウ林道送電線下 12:40 山頂着 13:35 山頂発(尾根から林道) 14:00 ゾウゾウ林道に合流 14:30 卒塔婆峠(自動車)