高須宮のある高鳥屋山(たかんとやま)
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 高鳥屋山(たかんとやま)は、笠ヶ岳につながる尾根の先端にあり、高原川から仰ぎ見ると尖がった岩のピークを持つ山です。山頂からは笠ヶ岳がまじかに見えます。
 この山は、ふもとの上宝村長倉の住民にとって村の守り神です。高鳥屋山の山頂には、高須宮の社(やしろ)があります。昔から八十八夜の5月1日ころ、長倉の住民はこぞって登り続け、豊作から雨乞いまで幅広く祈ってきました。最近は、4月29日に隔年で参拝して神事を行い酒を酌み交わします。(2001年5月2日岐阜新聞)
 高鳥屋山の名については、かつて鳥屋があったためかわかりません。ただし、斐太後風土記(下巻)によると、ふもと長倉の川向いの鼠餅(ねずもち)について、鳥屋に関係した記述があります。「古へ此村より、多く【もち】をとりて売出しつらむ。近世は益田郡阿多野郷・小坂郷にてとりて売出す。其(そ)は所によりて、【もち】もて多く鳥をとれども、国中、鼠をとるに必要なる故に、其を出せれば、村名にも負しならむ。-‐‐」かつての鳥屋は、かすみ網以外に、モチノキの樹皮から取った鳥もちにくっついた鳥を捕獲する方法もありました。
 また、飛州志の嶺の項では「鳥屋峠鼠餅村ニアリ」、飛騨後風土記(上巻)の嶺の項では鳥屋嶺として「蓑谷越とも云。折敷地村より鼠餅村へ越。」の記述がそれぞれあります。これは、現在地図ではトヤ峠となっています。
 鳥屋といえば、東濃地方や飛騨南部だけかと思っていましたが、地名からすると江戸時代は、この付近に鳥屋があっても不思議ではありません。(大鼠山参照)
 高鳥屋山へは、自動車で長倉の段丘に上がり、黒土林道をチカツエ谷方面に行きます。長倉からは、高鳥屋山の尖塔が見えます。高鳥屋山の裏側に回り、チカツエ谷を渡り300mほど行くと、高鳥屋山の肩に上がる林道分岐があります。林道の状態が悪そうだったので、ここに車を置きました。15分ほど歩くと林道終点でした。ここから稜線沿いに道がありました。山頂では、上宝村本郷の祭ばやしが聞こえました。
【参考】岐阜新聞社(2001):高鳥屋山に登山、岐阜新聞社
富田礼彦(1873):斐太後風土記(上巻)、雄山閣(復刻版)
富田礼彦(1873):斐太後風土記(下巻)、雄山閣(復刻版)
長谷川忠崇(1745):飛州志、岐阜新聞社(復刻版)
馬の雪形の残る笠ヶ岳(山頂より)
【登頂日】2003年5月3日
【標高】1247m
【場所】岐阜県吉城郡上宝村
【記録】14:30 黒土(くろつち)林道(960m地点 右の林道へ) 14:45 林道終点(1050m) 15:10 山頂着 15:45 山頂発 16:05 林道終点 16:15 黒土林道(自動車)