サワラの山・椹谷山
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 椹谷は、御嶽山麓の谷の名称です。斐太後風土記の落合村(下呂市小坂町)の項には、「此の村の深山信濃との国界なる御嶽より流れ出る、濁河、椹谷等の流水落合ーーーー」と書いてあります。実際、椹谷に入ると、林道や作業道のあちこちで、サワラが目につきました。その椹谷源頭、県境稜線上の山が椹谷山です。
 サワラは、葉がヒノキに似ています。ヒノキとの区別の仕方で、最もわかりやすいのが、葉の裏の白い気孔線です。ヒノキがY字状なのに対し、サワラはX字状になっています。サワラ材の性質は、ヒノキに比べ柔らかいため、建築用としては不向きであまり植林されていません。自生地は、中部地方の山地です。(中川、1994)
 もともと御嶽山の周囲は、中間温帯林とよぶ針葉樹の自生地です。ヒノキやサワラは、内陸の雪の比較的少ない山地や岩峰など、樹木の生育条件の悪い乾燥地に自生します。(小野木、1989)
 角助山方面林道との分岐にゲートがあり、自動車はここまでとなりました。「小坂の三角点」のルートの飛石谷を目指しましたが、その手前1450m付近で、歩道入口(122ヘト)の看板を見つけたので、そこから林道を離れ稜線を目指しました。
 歩道は急ですが、ピンクのリボンの目印が続いていました。標高1600m付近で分岐があり、リボンは左の水平道(巻道)につながっています。そのまま上に登ってみましたが、稜線付近で道が途切れていたので、水平道を20分ほど行き、山頂直下手前の雪面の残る谷を直登しました。雪が締まっていて、稜線まで一気に登れました。
 稜線には、広い作業道があり、山頂の南を巻いていました。信州側の展望が良く、三浦ダムも見えました。山頂はすぐ東です。真っ白な御嶽山の一部が山頂の後ろに見えました。ピンクのリボンを追うと、道は山頂の少し向こうから信州側に下っていました。山頂の反対側の歩道は、200mほどで終点でした。
 山頂へは、歩道から雪面を拾って少しだけ藪こぎをして達しました。「小坂の三角点」によると、御料局三角点の隣のシラビソの根元に三角点が埋まっているはずです。近くのシラビソの根元を鉈で雪面を掘っても見つかりません。結局、御料局三角点のすぐ隣、赤テープの巻いてある立ち枯れの木の根元に、三角点が埋まっていました。
 【参考】富田礼彦(1873):斐太後風土記(上巻)、雄山閣(復刻版)
小野木三郎(1989):北アルプス山楽山歩、教育出版文化協会
中川重年(1994):針葉樹、保育社
小坂町教育委員会(1988)小坂の三角点、小坂町教育委員会
稜線作業道から山頂を望む
【登頂日】2009年4月29日
【標高】1885m
【場所】岐阜県下呂市小坂町椹谷
【記録】9:25 角助山方面林道分岐(椹谷林道ゲート、850m) 9:55 与左衛門林道分岐 10:15 真谷林道分岐 10:40 分岐 11:10 歩道入口(122ヘト) 11;15 歩道入口発 12:00 分岐(左水平道へ 1600m) 12:20 雪面を上へ 13:05 稜線 13:45 山頂着 14;45 山頂発 15:15稜線(下降) 15:45 水平道を左へ 16:05 分岐ここから歩道を下降) 16:25 林道(歩道入口) 17:15 真谷林道分岐 17:45 ゲート(自動車)