オサンババ・今西錦司氏ゆかりの山
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 オサンババは、地図では無名ですが、鷲ヶ岳、烏帽子岳とともに荘川三山とよばれます。荘川三山と名づけたのも、オサンババの名を採取したのも、生物学者の今西錦司氏です。地元では、兎ヶ馬場(ウサンババ)とよんでいたのを、今西氏がオサンババと聞き、この名がしだいにやぶ山愛好家の間で広がりました。(美濃の山、第2巻)
 今西錦司氏は、岐阜大学の学長だったころ、岐阜県のやぶ山に多く登っておられるようです。今西氏といえば、生態学、霊長類学、人類学等で独特の全体的な見方を展開し、今西進化論、マナスルの日本隊初登頂、モンゴル探検でも有名です。そして熱烈なやぶ山愛好家でした。
 兎ヶ馬場という名は、古くからあったようです。江戸期の飛騨国中案内の一色村の項を見ると、「一色村内に兎ヶ馬場という高山あり、此の山より越中、加賀、越前、美濃、此四ヶ国の内にて名ある山々相見る、何れも道程六・七里より三十五六里迄相見申候。」とあります。実際、一色側から登ってみると、その通りで、江戸時代の記述とはいえ感心しました。
 オサンババは、境界歩道を利用すれば容易に登れます。一色林道を尾通橋(林道が右岸から左岸になる橋、1080m標高点)まで行き、ここから、林道跡らしい山道を東へ入ります。5分ほど行くと中部森林管理局の境界標が建っています。ここで左折して境界標に沿って水平道を約300m行きます。小川を渡ったら、境界道は自然に尾根を登るようになります。道はよく刈り払ってありました。境界道の終点は山頂平坦部までありますが、三角点へは10分ほどやぶこぎが必要です。
【参考】大垣山岳協会(1999):美濃の山(2巻)、ナカニシヤ
上村義満(1746):飛騨国中案内、大衆書房(復刻板)
白山と別山
【登頂日】2005年6月12日
【標高】1631m
【場所】岐阜県高山市荘川町
【記録】8:50 一色スキー場ゲート(林道) 9:45 尾通橋(登山口) 9:52 中部森林管理局境界表示(左折して約300m後尾根登り) 11:47 切開き終点(ここからやぶこぎ) 12:05 山頂着 13:20 山頂発 13:30 切開き終点 15:20 尾通橋 15:45(自動車に乗せてもらう) 15:50 一色スキー場