滝に囲まれた蓑谷山
山語り目次 地図検索
 高原川の支流、沢上(そうれ)谷の奥に鼠餅蓑谷の集落があります。蓑谷からは、大滝、みそしる滝、五郎七滝の3つの滝が見え、その奥に蓑谷山(地図では無名)があります。飛騨の山山によると、沢上谷本流にある滝が大滝で、谷に注ぐ滝がさらに2つあります。大滝の左にみそしる滝、さらに少し離れて左に五郎七滝が見えます。大滝は水量が多く優雅で、みそしる滝はまっすぐ落ちています。五郎七滝はすべり台のような、なめ滝です。みそしる滝の名は、滝の上にある大原の人が味噌汁でも何でも捨てることによるとも、みぞの終りの「みそしり」からともいいます。五郎七滝は、この滝に誤って落ちて亡くなった村人の名からきています。
 飛州志には、「鼠餅瀧、此の山、神馬に乗って滝のあたりを遊行すると適響の音が聞こえる」、斐太後風土記には、「山犀瀧(さんさいたき)、高さ二十間余、昔信州犀川に犀が住んでいた。今も飛騨深山に住んでいるというのはこれである。鼠餅村瀧ヶ平山中に在る」とあります。ただし、この説明の滝は、沢上谷の下流の大滝のことをいっているのかもしれません。また犀(さい)というのはどのような動物でしょうか。
 箕谷山へは、トヤ峠手前から大原へ向かう林道に入り、そこから分岐する尾俣林道を利用します。1312m標高点近くの林道終点(南側)からヤブこぎになります。林道から少し降りてスギの伐採地の浅い谷をコルまで行き、そこからヒノキの植林地(右)と、ブナ林(左)の尾根を直登しました。やぶはうすく距離も短いのでたいへんではありません。山頂付近からは、樹間に、白山、笠、穂高、黒部五郎等が見えました。なお、尾俣林道入口にはゲートがあり、(林道利用希望者、上宝村森林組合 0578-6-2166に連絡)という看板がありました。
【参考】酒井昭市(1990):飛騨の山山、ヤブ山編、ナカニシヤ
富田礼彦(1873):斐太後風土記(上巻)、雄山閣(復刻版)
長谷川忠崇(1745):飛州志、岐阜新聞社(復刻版)
五郎七滝と蓑谷山
【登頂日】2005年5月8日
【標高】1486m
【場所】岐阜県高山市上宝町
【記録】9:20 尾俣林道(1230m付近のカーブ) 9:40 林道(南側)終点 9:55 境界コル 10:40 山頂着 11:55 山頂発 12:20 コル 12:35 林道終点 12:45 尾俣林道分岐