栗ヶ岳と栗屋谷村
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 飛騨には、樹木の名に因む山がいくつかあります。たとえば、白木峰(ブナ)、他に椹谷山(サワラ)、栃尾山(トチ)、桧ヶ尾山(ヒノキ)、松ヶ洞山(マツ)、樅沢岳(モミ)、漆山岳(ウルシ)という具合です。
 栗ヶ岳もそのひとつで、栗ヶ岳の北側には栗ヶ谷川があります。栗ヶ岳は、この付近の地名、栗屋谷(栗ヶ谷)に因みます。江戸時代の書、飛騨国中案内によると、小鳥川に合流する栗ヶ谷川付近に、栗屋谷村があったことがわかります。これによると、「民家も有之候所に、岳下の村故耕作豊(成)らす、其上少しのことありて民家も絶へ、其の跡地田・畑荒所に成、御料所に成りーーー」とあります。飢饉か災害で村が絶えたことがわかります。また当時、耕作するには厳しい地であったようです。明治初期に完成した「斐太後風土記」には、保村の項に、「栗谷(クリヤ)を今訛て栗谷渓(クリヤダニ)と云ふ」とあります。
 栗ヶ岳に登山道はありませんが、中部電力の送電線巡視路を利用して登ることができました。東海北陸自動車道の河合パーキングの下をくぐり、栗ヶ谷川に沿う林道を行くと、養魚場があり、ここに中部電力巡視路の標識があります。稜線に登ったら巡視路は1406m峰から1322m標高点へと続きます。ここから栗ヶ岳主稜線につながる尾根に巡視路を登り、路と分かれて薮こぎです。残雪を拾いながら、主稜線からは残雪の上を歩いて頂上に達しました。巡視路をそのまま行けば、1272m標高点に向かって降りることになります。
【文献】上村義満(1746):飛騨国中案内、大衆書房(復刻板)
富田礼彦(1873):斐太後風土記(下巻)、雄山閣(復刻版)
栗ヶ岳山頂
【登頂日】2011年5月8日
【標高】1729m
【場所】岐阜県飛騨市河合町
【記録】8:35 養魚場(中部電力巡視道) 9:05 153鉄塔 9:50 152鉄塔 10:15 稜線 10:55 巡視道(1400m ここから薮こぎ) 11:50 主稜線 13:10 栗ヶ岳山頂着 13:40 山頂発 14:05 標高点 14:25 主稜線分岐 15:05 巡視道 15:35 稜線分岐 15:50 152鉄塔 16:05 153鉄塔 16:20 登山口(自動車)