焼畑に由来・捨薙山
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 捨薙山(すてなぎさん)は、加茂郡東白川村と白川町の境界に位置しますが、山頂は東白川村にあります。白川町黒川地区の柿反上(かきぞれ)から頭谷林道に入り、終点(標高740m)から捨薙山に登りました。谷の踏み跡をたどって登ると道は不明瞭になりました。標高880m付近で林道を横切って直登しました。稜線には道があったので、道を東にたどると小屋がありました。さらに町村界の稜線を離れて北側の高みに登ると山頂でした。山頂はヒノキの植林のため展望がありませんが、東白川方面からの登山道を少したどると、御岳や東白川村のよく見える場所がありました。
 捨薙山の名前は、焼畑に由来するといわれます。焼畑のことを、ナギ畑といったからです。焼畑は、かつて農耕地に乏しい山間地に多く分布していました。春先に火入れを行い、そば、ひえ、あわ、豆類などを栽培したのです。焼畑が行われなくなったのは、明治30年に「森林法」ができて、植林の促進や火入れの制限が行われたころからだといいます。(飛騨の焼畑)(火山猪臥山、参照)
 飛騨南部の下呂町から東濃北部の白川町、東白川村付近には、焼畑に由来する地名が多く残っています。下呂町に「夏焼」「火打」という集落もあります。白川町の柿反上(カキゾレ)、無反(ムソレ)も焼畑地名です。「ゾレ、ソレ」も焼畑を示す「ソウリ」に由来するからです。かつて、付近は焼畑がさかんであったことが想像されます。(岐阜県地理地名辞典)(無反山参照)

【参考】岐阜地理学会(1978):岐阜県地理地名事典、地人書房
江馬三枝子(1936):飛騨の焼畑、ひだびと

東白川村上親田付近と御嶽山
【登頂日】1999年1月31日
【標高】983m
【場所】岐阜県恵那郡白川町
【記録】10:08 頭谷林道終点(740m) 10:25 林道横切る(880m) 10:52 稜線を西へ(引き返す) 11:08 山頂着 12:05 山頂発(前山谷方面) 13:00 引き返す(700m) 13:45 山頂着 13:50 山頂発 14:12 頭谷林道