小坂富士・大沢上(オオゾレ)山
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 益田郡小坂町の市街地から東方へ、御岳方面に向かうと湯屋温泉があります。その温泉街の真正面に見える山が大沢上(オオゾレ)山です。富士山の形に似たその山容から、地元では「小坂富士」と呼んでいます。ただ、このあたりは山懐が深いので、大沢上山の全容が見える里は湯屋しかありません。湯屋の人が毎日眺める故郷の山です。
 大沢上山は、富士山に似ているとは言っても山頂に噴火口のある火山ではありません。その山体をつくる岩石は、濃飛流紋岩という岩石です。濃飛流紋岩は、恐竜時代、中生代の終わり頃(約8000万年〜5500万年)にかけて噴火した大火砕流による岩石です。岐阜県の面積のうち3分の1、益田郡ではほとんどこの岩石に覆われています。岩石の色は、深い緑色をしているので川原で調べるとすぐにわかります。
 その噴火は単独の火山というイメージではなく、噴火口が移動しながら広範囲にいくつも分布しました。そして大量の火山噴出物が何百メートルも積み重なり、その熱で噴出物が溶け直して固い岩石となったのです。火山の形は再噴火がない限り約50万年もすると侵食で無くなります。ですから小坂富士の山容は濃飛流紋岩の噴火とは無関係です。(滝ヶ洞山参照)
 大沢上山には登山道はありません。深作からの林道を利用しましたが、林道は荒れているため自動車は下に置いたほうが無難です。林道終点まで歩きそこから1129m標高点のある尾根を目指して直登します。その後、尾根を伝って南峰に登り三角点のある北峰に行きます。尾根上には踏み跡があります。山頂付近は藪こぎです。尾根の降り口には目印をつけると安心です。林道終点の西側を深作まで降りてしまう可能性があります。
【参考】山田直利・小林武彦(1988):御嶽山地域の地質、地質調査所
飛騨地学研究会(1988):飛騨の大地をさぐる、教育出版文化協会


湯屋温泉から見た小坂富士・大沢上山
【登頂日】2003年9月7日など
【標高】1336m
【場所】岐阜県益田郡小坂町
【記録】12:25 林道(自動車760m) 12:50 林道(深作)終点 13:20 尾根(1020m) 14:30 南峰 14:55 山頂着 15:45 山頂発 16:05 南峰 16:35 尾根 16:50 林道終点 17:10 林道(自動車)