秋葉大権現のある無反山(むそれやま)
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 無反山(むそれやま)は、加茂郡東白川村と白川町の境に位置する里山です。無反山の名は、焼畑を意味することに由来します。地名の研究によると、「ソリ、ソウリ」の地名は、焼畑のことを示します。また加茂郡と益田郡南部は、夏焼(なつやけ)、捨薙山(すてなぎやま)など、岐阜県の中でも焼畑に因む地名が多い地域です。(捨薙山火山参照)
 無反山の山頂は2つあり、東白川村側に秋葉神社、白川町側に州原神社が祭ってあります。三角点のある秋葉神社には秋葉大権現像、州原神社には観音菩薩像が祭ってありました。
 日本石仏事典によると、本山の静岡県秋葉神社は火災防止の神様です。秋葉神社は、明治維新の神仏分離令によって誕生しました。祭神は、火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)です。明治以前は秋葉寺でした。
 江戸時代には、東日本中心に秋葉寺本山をお参りする秋葉講が盛んでした。そして、尾張、美濃から東日本を中心に各地に秋葉大権現は祭られました。大権現とは、日本の神を仏教側で権現の名で呼んだものです。平安時代中期ころから日本では、神と仏を区別しないために、仏が神として権(かり)に現れたと考えました。(日本石仏事典)
 もともと秋葉山を開山した三尺坊という山伏は、火坊の秘法を行い、最後には天狗に変化したという伝説があるそうです。秋葉大権現である三尺坊の石像は全国的には多くありません。その像の特徴は、顔は烏天狗面、背に翼を持ちます。そういえば、無反山の秋葉大権現像も、烏天狗または修験僧のような面持ちで背には羽根がありました。(日本石仏事典)
 無反山へは、白川町黒川地区の小坂から登りました。小坂から林道に入ると、行き止まりだったため、西への山道に入りましたが道が不明瞭になりました。そこでアカマツの混じるヒノキの植林地を直登すると、別の林道を横切りました。さらに登りきると須原神社でした。里山だけに不明瞭な道はたくさんあるようです。
【参考】柳田國男(1936):地名の研究、古今書院(柳田國男集、筑摩書房)
庚申談話会(1975):日本石仏事典、雄山閣


山頂の秋葉大権現
【登頂日】1999年3月6日
【標高】889m
【場所】岐阜県加茂郡白川町
【記録】14:25 小坂からの林道(520m) 14:50 上の林道(710m) 15:10 尾根 15:17 洲原神社 15:25 秋葉神社(山頂)着 16:00 山頂発 16:07 洲原神社 16:20 上の林道 16:37 小坂からの林道(自動車)