
乗鞍の麓 朝日町から見た乗鞍岳
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●乗鞍の植生帯
乗鞍岳は2,500mをこえた高山帯になります。
高山帯は北極周辺のツンドラ地帯と同じ環境であり、中腹の1,500m〜2,500mの亜高山帯は北方のタイガ地帯(針葉樹林帯)
と同じ環境です。
乗鞍では日本に居ながらにして極周辺のツンドラまで体感できることになります。
●高山帯の植物群落
2,500mをこえる高山帯は、強風,多雪などの厳しい条件下にあります。
夏にも残雪の跡地や常に砂礫が動く砂礫原などさまざまな場所があり、それぞれに特有の植物が見られます。
夏に訪れても狭い範囲の内で、残雪の上は冬、その周辺の雪解けは春、又岩場はリンドウが咲くと秋と、四季の植物が観察で
きます。
★ハイマツの低木林
高山帯で最も広い面積に群生するハイマツは、条件の良いところでは山の斜面や平面をおおい、ハイマツの海
をつくります。
ハイマツの高いものは2mに達しますが、尾根の高いところでは10cmほどで地面をはいまわって群生しています。
★雪田植物群落
畳平のお花畑は、残雪の後の草地で早めに乾燥する場所にはアオノツガザクラ、チングルマ、コイワカガミが多く、
凹地などの比較的水分に恵まれた場所にはハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、クロユリなどが生育しています。
★高山荒原植物群落
生育条件が極めて悪い荒地の植物群落でコマクサ、イワウメ、イワツメクサ、オンダテなどが生育しています。
★風衝矮小低木群落
強風地でもハイマツの周囲など、やや土地の安定した植物群落。高さ10cm程のミネズオウ、ガンコウラン、
クロマメノキなどが生育しています。
★風衝草原の植物群落
強風のため、冬にほとんど雪がつかない稜線上の草地。
イネ科、スゲ類、トウヤクリンドウなどがコケ類、地衣類と混生しています。
★岩場・岸壁の植物群落
寒冷な耕地の厳しい環境ですが、平らな岩面にはチズゴケなどのコケ類や地衣類が着生し、岩の割れ目や
凸凹の多い岩面にはジムカデやイワヒゲ、イワウメなどが生育しています。
★高茎草原の植物群落
一般的にお花畑と呼ばれる水分条件や栄養条件の良い高山草原で、比較的背丈のあるシナノキンバイ、
クルマユリ、ミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマ、ミヤマトリカブトなどが生育しています。
●高山帯の特徴
高山植物は限られた高所の低い気温のところでしか育ちませんが、北海道など北の地方では低地でも見られます。
乗鞍には49科180余種が生育するといわれています。
★背丈は小さいが、比較的大きな花をつけます。
★色が鮮やかで、きれいです。
★種から芽生えて、花を咲かせるまでに早いもので5年、遅いものだと20年近くかかります。
★厳しい寒さに耐えて、生き残ったものだけが花を咲かせますが、開花する期間は非常に短いものです。
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